週3で皇居を走るスポーツライター戸塚啓がおすすめしたいポイントとは?!

ランニングを初めてからかなり長い間、僕は皇居ランを避けていた。

 

週に2、3回のランで5、6キロ程度の距離を走っている自分に、本格的なランナーが多そうな皇居の周回コースは居心地が悪いのでは、と考えていたからだった。わざわざ皇居までいかなくたって、いつでも、どこでも走れるのがランってもんでしょ、と斜に構えていたところもある。

いやいや、大変な思い違いだった。

 

1周5キロの皇居ランでは、信号で足を止められることがない。自分のペースで走り続けることができる。街中のランに付きまとうストレスから解放されるだけでも、皇居ランを選ぶ価値はあることを知った。

 

僕は夕方から夜にかけて走るのだが、この時間帯は仕事を終えたランナーが多い。颯爽と走り抜けていくエリートランナーっぽい人がいれば、会話を楽しみながら走るグループもいる。1キロ4分台から7分台くらいまでの幅で、たくさんのランナーが走っている。

自分なりのタイム設定に合ったランナーに出会うことができ、ペースメーカーに見立てて走ることができるのも皇居ランの魅力だ。一人で走っていたら絶対にできないことで、「ここからここまでの1キロはあの人に合わせてスピードを上げて、そのあとは違う人と同じペースで2キロ走ろう」、なんてこともできたりする。10月下旬に初マラソンを控えている僕は、名前も知らないランナーの方にいつも助けてもらいながら、1キロ6分から6分30秒くらいのペースを作っている。

 

たくさんの人に混じって走るメリットはまだある。

気持ちが奮い立つのだ。

 

ひとりで走っていると、弱気な自分が声を大きくする。「今日は10キロのつもりだったけど、何か足が前に出ないから5キロでいいか」といったように、ついつい楽をしたくなる。

 

そんなときに、「ハア、ハア」と荒い息で走るランナーに追い抜かれたら。
しかもそれが、自分より年上の男性だったりしたら──。

 

もうちょっと頑張ろう、と思う。キツいのは自分だけじゃないぞ、と勇気がわいてくるのだ。知り合いは一人もいないのに仲間に支えられているような連帯感を抱けるのが、僕にとっての皇居ランなのだ。

個人的におすすめしたいポイントは、半蔵門から桜田門までの緩やかな下り坂だ。大手町のオフィス街に明かりが灯る夕方以降は“都心を走っている感”が満載で、ランナーとしてのレベルも上がっているような気持ちにさせてくれる。

 

皇居を走っている僕は、誰かを抜き去ることより抜かれることが圧倒的に多い。それでも、いまや週3回のランはすべて皇居だ。

職場や自宅から遠いとか、時間がないとかいう理由で皇居ラン未体験の人は、ぜひ一度トライしてみたらどうだろう。ランを始めたばかりのあなたでも、自分なりの楽しさを見つけることができるはずだ。

 

【著者】

戸塚啓 プロフィール
98年10月からフリーに。『Number』で定期的に執筆し、『Jリーグサッカーキング』では「取材ノートの記憶」を連載。『スポニチワールドサッカープラス』『サッカージャーナル』などでもコラムを執筆。 日本代表の国際試合は、2000年3月から2013年2月まで210試合連続で取材中(取材規制のあった11年11月の北朝鮮戦を除く)。テレビ埼玉やJ-SPORTSでサッカー中継の解説も務める。

【写真】

佐久間秀実