藤光謙司(世界陸上銅メダリスト)にとっての走ることvol.2「その日の体や動きについて確認できるのがランニング」

2017年世界陸上ロンドン大会男子4×100mリレーで銅メダルを獲得した藤光謙司選手(ゼンリン)。陸上界で大旋風を起こし続ける藤光選手にとって、ランニングがどのようなものであるかを熱く語っていただいた。

 

<vol.1は、こちらから。>

 

 

――普段どれくらいの距離を走るのですか。

藤光:僕はスプリンターなので長い距離は走らないですね。実際に走るのが100mや200mですので、それに近い距離を何回か繰り返します。ウォーミングアップとして体を温めて、その日の上半身から下半身までがどうなっているのかを知りたいですし、調子の良し悪しも1本1本走りながら知りたいですからね。その日の体の動かし方、走り方や練習メニューをジョギングをしながら自分の体と会話をして考えています。

 

 

――今まで最長で何km走ったことがありますか?

藤光:10㎞位ですね。中学生の時は長い距離も校内の人の中では速く走れたこともあり、駅伝の選手でもありました。中学時代までは体ができあがっていないので、短距離でも長距離でも走れてしまいますが、高校、大学となると骨格ができて固まっていくので、どちらが自分に適しているのかが分かれていきます。

 

 

――ランニングについてのアドバイスはありますか。

藤光:足を速くする方法を教えてくださいと言われますが、アドバイスするのは難しいですよね。僕がこれまで積み重ねてきたものを教えることはできるんですが、人それぞれ体が違いますし全ての人に同じように落とし込むことはできないと思っています。

例えば、僕が太腿を上げるようなイメージで走っていますと言っても、話を聞いた人からすると足を振り下ろすというイメージとなる場合もあります。

アメリカでは、結果このような動きにならなければならないというように教わりました。アプローチの方法については、各々選手が自分で試して考えて見つけなければならないというスタンスなので、「できてる!(Good!)」や「できていない!(No Good!)」と言われていましたね。

この練習をやれば100%良くなりますとは言えないので、教えるのは難しいです。クリニックで子供達に教える時に、これをやれば足が速くなると言えば真に受けてしまうと思いますので。

ただ1つ言えるのは、色んな事をやってみないと分からないと僕は思います。色々やる事により、できたりできなかったり、自分に合う合わないということが分かってくるので、自分で作り上げて選択をするしかないと思っています。

そういった中でも走る際の姿勢は大事なポイントだと思います。体は末端ではなく中心から使うというのを意識しています。結局、体を手足で運ぶんですが、本当に運ばなければならないのは自分の中心なんですよね。

あと手足をどれだけ動かしても、中心が後ろに残っていては前に進まないので、それを効率よく使うには1番重い体の中心から動かすことが大切だと思います。そのためには体幹トレーニングなどをやるのがとても大事です。人間も車と同じで抵抗を受けやすく力を伝えにくい姿勢だと効率良く速く走れないとも思っています。

 

 

――走ることを長く続けるコツはありますか。

藤光:僕の場合は、トレーニングで1日1日小さな目標を決めています。タイムをクリアできたら目標達成だとか、良い感覚で走れたら目標達成だとか、その日によって変えています。

例えば、練習前に100m10本走ると設定をしていて、目標をクリアできたら10本全部走らずにその時点で練習を終了しています。お腹一杯練習をするとしんどくなり続かないので、余裕を持って終えると次の日の自分に期待が持てるんですよね。

さぼってると思われるかもしれないですが、長く続けるためにはやるべきことをやって効率良くやりたいですからね。小さな目標の積み重ねにより、何か結果に繋がっていくんじゃないかと思ってトレーニングをしています。

ランニングが好きとか嫌いとかがあるでしょうが、続けることによって分かることがあると思いますし、続けた自分というのは確実に残るので、何かしらに必ず活かせる力になるはずです。

 

 

――藤光さんを支えているものはありますか。

藤光:常に新しいものを探しています。競技だけでなく日常に関しても、最新のトレンドが何なのかを把握するだけで刺激を受けることができますし、何かに活かせるかもしれないので興味を持ってアンテナを張り続けています。自分の可能性が広がるので凄く楽しいですし色々な事に挑戦をしていきたいですよね。

 

 

――読者にメッセージをお願いします。

藤光:ランニングや走るということは、誰しもが経験したことがある簡単なスポーツではありますが、極めるのは難しいと思っています。それ故、やりがいがあると思いますので、皆さんに楽しんでいただきたいです。

僕の目標は、陸上競技場を満員にしたいので陸上界を盛り上げていきたいです。ぜひ会場に足を運んでいただいて、陸上を目の前で体感していただきたいですね。

 

 

 

藤光謙司 公式Instagram
https://www.instagram.com/gold_kenny51/

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【著者・写真】
佐久間秀実

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