足に優しく、ランニングに楽しさを!ランニングシューズOnの「クラウド」とは
スイス初のランニングシューズブランドOnは、「ランニングに楽しさを!」をモットーとし、どのようなランナーでも楽しみながら走ることができるシューズを展開している。今回は、Onの中で最も多くのユーザーから支持を得ている「クラウド」の特長などについて、On Japan代表の駒田氏に熱く語っていただいた。
――今回のシューズ「クラウド」について、説明していただけますか。
駒田:クラウドは、一般的なランニングシューズには必ずあるミッドソールを取り除いて、アッパーと特許技術「クラウドテック」を搭載したアウトソールのみの構造となっています。
Onのシューズ全体に言えることなんですが、スピードやペースでレベル分けをしていません。クッション性と反発力が融合しているシューズなので、キロ何分という区分をする必要がないんです。ですので、ウォーキングする人からオリンピック選手まで履くことができるシューズとなっています。
スニーカーみたいにお洒落でありながらレースで履くことができて、しかもリカバリーシューズとして履くことすらできるので、こんなシューズは初めてだとお店で売り切れたこともありました。
そのクラウドがOn全体の50%程を占めていまして、一番人気の高い定番モデルです。お客様からは「軽くて、かわいらしいシューズ!」とよく言われます。しかも、世界レベルのアスリートがレースで走ることもできるなど、あらゆる方から非常に好評ですね。
――海外での評価はいかがですか。
駒田:世界最軽量のクッショニングシューズであると言われています。ドイツのミュンヘンで開催される世界的なスポーツ展示会「ISPO」のパフォーマンスランニングシューズ部門で2015年に金賞を受賞し、欧米で最高のランニングシューズとして認められたことがあります。
世界最軽量のクッショニングシューズであり、デザインと機能が融合し、スニーカーのようでありながらシリアスなアスリートまで走ることができるシューズは、これまでに存在しなかったということがその受賞理由です。
――輝かしい賞を受賞されたのですね。確かに、色々な履き方ができそうですね。
駒田:クラウドは様々な方に提案することが可能ですので、ウォーキングシューズ、普段履きシューズ、お洒落スニーカー、ランナー向けシューズなど、幅広いユーザーや用途に対応することができますね。
履く人や履くペースを選ばないので、私はクラウドを「みんなのOn」と呼ぶことがあります。楽しさを広めたいというのがOnのブランドメッセージですので、なるべく多くの方々に履いていただきたいですね。そういう意味で、様々な方に履いていただけるクラウドは、Onにとっても特別な想いが込められたシューズです。
Onは、ランニングを文化として、楽しみのひとつとして、日本に定着させるお手伝いをしたいと思っています。アメリカやヨーロッパでは年齢や体型に関係なくランニングを楽しんでいる方が多いですが、日本はまだそこまでではない印象です。ブームから文化として定着させるためのキーワードは「楽しさ」だと思いますので、シューズの選択肢のひとつにクラウドを入れていただければ嬉しく思います。
――特長を教えていただけますか。
駒田:履けば分かります(笑)。まずはお店で履いていただきたいですね。圧倒的な軽さとフワッとしたクッション性が特長のシューズであることが分かっていただけると思います。
――ソールが細かく分かれていますね。
駒田:ソールに配置された穴の空いた3Dパーツ、それを「クラウドテック」と呼んでいるんですが、それが独立して動くようになっています。様々なランナーの走り方にシューズが対応できるようになっています。前モデルでは、ここに石がはまりやすかったのですが、溝をV字にしたことにより石がすぐに外に出るようになっています。
――ソールの前方と後方の厚さの高低差は何㎜となりますか。
駒田:ドロップは6㎜と、少ない方だと思います。様々なタイプのランナーからフィードバックをいただき、より自然な動きを追求した結果6㎜となりました。
――踵についてはいかがですか。
駒田:踵はクラウドにとって非常に大事な所です。前モデルよりもフィット感がかなり向上しています。踵をより包み込むことで、紐できつく縛らなくても足にシューズが付いてきてくれるようになっています。また、ソールが非常にフレキシブルな構造となっています。これらにより、最初から付いているゴム紐でも走ることが可能となります。
――インソールにかなり力を入れていますか。
駒田:そうですね、EVAとポリウレタンの異素材を組み合わせた立体成型をしていて、足を入れるとジワーッと沈み込むようになっています。その人の足に合わせて包み込み方を変えますので、走り方を邪魔しないような作りとなっています。
――アッパーについてはいかがですか。
駒田:シンプルなメッシュ素材を使用しています。前モデルは、アッパーの補強材をのり付けしていましたが、シューズが濡れて乾かした際に剥がれてしまうことがあったという話を聞きました。それで、今回のモデルは補強材を熱圧着することにより、そのようなことがないよう改良しました。紐先も熱圧着加工を施し、ほつれないようになっています。
――他にはいかがですか。
駒田:アッパーのメッシュの密度が上がり、表面上の光沢感が増した印象です。そのため、よりプレミアムな雰囲気が出ていると思います。全体的な見た目は、前モデルの良いところを踏襲しているため、さほど大きく変わっていないように思えますが、実はかなりアップデートされています。エンドユーザーから得られたフィ-ドバックを1つ1つ検討して改良した結果です。
――企画から完成まで、どれほどの時間がかかりましたか。
駒田:データを洗い出して検討し、アッパーとソールの組み合わせを何百通りも考え、プロトタイプを何度も作り変え、実際にテストランナーが履いて走って改良をしていますので膨大な時間がかかりました。
――今後の展望を教えていただけますか。
駒田:よりユーザーのコミュニティに入り込んでいきたいと思っています。実際に企画を考えていまして、Onのロゴを貼った車で日本全国を巡るツアーを考えています。どんな小規模な所でもノリで突発的に行ってしまおうと思っています。アルペンやスポーツデポがあるところで、ユーザーと一緒に楽しみながら走って、できれば食事などできたらと思っています。その土地土地で幸せなランナーが増え、その結果としてランニングが文化になれば最高ですね。
【関連記事】ランニングブランド「On」についてOn Japan代表の駒田氏に誕生から現在に至るまでの話を熱く語っていただいた記事(足に優しく、ランニングに楽しさを!スイスで誕生したランニングシューズOnとは)はこちら。
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【著者・写真】
佐久間秀実